ISMSとプライバシーマーク(Pマーク)のそれぞれの使用用途
どちらも個人情報の保護に積極的に取り組んでいて、基準をクリアしていることを認めるための制度ですが、使用用途は異なります。
この記事のポイント
- プライバシーマーク(Pマーク)は顧客情報だけでなく従業員の情報も含むすべての関係者が保護の対象で、アピールする対象は一般消費者
- ISMSは自社で扱っている情報資産を守るのが基本的な使用用途で、アピールする対象は取引先の企業
- 自社の顧客が多い小売業などはPマーク、企業との取引が主な収益源ならISMSが適している
- 迷ったときは「取引先からの要求」「保有する情報の性質」「将来的な事業展開」の3つの視点で確認する
まず、プライバシーマーク(Pマーク)についてですが、保護の対象はすべての関係者と言うことになります。それは顧客情報だけではなく従業員の情報も含まれます。
ただ、アピールする対象としては一般消費者だと考えられます。サービスを提供する顧客の情報をきちんと管理していると言うことをアピールすることができるという意味では、非常に重要なものだと言えるでしょう。自社で多くのお客さんを抱えているような企業には適した制度だと考えられます。
ISMSは、情報資産を守るというのが基本的な使用用途だと言えるでしょう。自社に関わる人の個人情報を守ると言うよりは、自社で扱っている情報資産を守るというのが基本的な使用用途になります。
情報資産を守る体制ができていると言うことをアピールする対象は取引先の企業です。取引先と情報をやりとりする場合などには、取引先は個人情報が適切に管理されているのかどうかを心配する可能性もあります。ここをアピールする目的に用いられるのです。
ですから、従業員が少なくて、自社の顧客が多くいる小売業などの企業にとってはプライバシーマーク(Pマーク)が適していると言えるでしょう。自社で直接的に顧客がいるのではなくて、企業との取引が主な収益源となっている場合には、ISMSのほうが適していると考えられます。
わかりにくければプライバシーマーク(Pマーク)取得支援サービスなどを活用すると良いです。
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目次
両方の認証を取得する企業が増えている理由
近年では、消費者向けの事業と企業間取引の両方を手掛ける企業が増えていることから、プライバシーマークとISMSの両方を取得するケースも増えています。例えば、ECサイトを運営しながら法人向けにシステムを提供している企業では、一般消費者に対する個人情報保護の姿勢と、取引先企業に対する情報資産管理の両方をアピールする必要があるためです。
両方を取得する場合、どちらから着手すべきか迷うことがありますが、一般的には自社の主要な収益源となっている事業(BtoCが中心であればPマーク、BtoBが中心であればISMS)から着手し、その後もう一方の範囲を広げていく進め方が効率的だとされています。
Pマーク・ISMSの取得期間や運用体制の違い
Pマークは個人情報の取扱いプロセスに特化しているため、対象範囲を事業所全体とすることが一般的で、既存の個人情報関連の業務フローを土台に規程を整備していく形で進められます。一方、ISMSは対象とする情報資産の範囲(適用範囲)を企業側で柔軟に設定できるため、特定の事業部門やサービスに絞って取得することも可能です。この適用範囲の設定次第で、必要な準備範囲や体制構築の規模が変わってきます。
運用体制についても、Pマークは個人情報保護管理者を中心とした体制、ISMSは情報セキュリティ委員会などの体制を構築することが一般的です。どちらも年間計画に基づく内部監査・マネジメントレビューを行う点は共通していますが、取り扱う情報の性質が異なるため、監査で確認するチェック項目には違いがあります。両方を運用する企業では、監査のタイミングを合わせて実施することで、運用の手間を効率化しているケースもあります。
どちらを選ぶか迷ったときに確認したい3つの視点
- 1つ目は「取引先からの要求」です。
既存の取引先や、今後開拓したい取引先がどちらの認証を重視しているかを確認することが、判断の出発点になります。 - 2つ目は「保有する情報の性質」です。
消費者から預かる個人情報が中心であればPマーク、社内の技術情報やシステムを含む情報資産全般を守る必要があればISMSが適しています。 - 3つ目は「将来的な事業展開」です。
海外展開や大企業との取引拡大を見据えている場合は、国際規格であるISMSの取得が有利に働く場面が増えていきます。
認証取得を検討する際のよくある相談内容
Pマーク・ISMSどちらを取得すべきか迷う企業からは、「両方必要なのか」「どちらが取引先に評価されるのか」といった相談が多く寄せられます。実際には、明確な正解があるわけではなく、企業の事業内容や取引先の要望によって最適な選択は変わってきます。相談の中では、まず自社が扱う情報の種類(個人情報か、それ以外の機密情報か)と、認証を求めている相手が誰かを整理することから始めることが多いです。
また、「両方取得すると運用の手間が2倍になるのでは」という懸念もよく聞かれますが、実際には多くの管理策が共通しているため、文書体系や監査の仕組みを工夫することで、運用の手間を抑えながら両方を運用している企業も少なくありません。専門家に相談することで、自社に合った進め方や運用体制の設計について、具体的なアドバイスを得ることができます。
最終的にどちらを選ぶにしても、認証取得はあくまで手段であり、目的は自社の情報管理体制を実質的に強化することにあるという点を意識しておくことが大切です。
迷ったまま時間だけが過ぎてしまうことを避けるためにも、早い段階で専門家に相談し、自社にとっての優先順位を明確にすることをおすすめします。
認証取得後の運用を成功させるための心構え
認証取得はスタートラインであり、その後の運用を軌道に乗せるためには、経営層が継続的に関心を持ち、必要なリソースを配分し続ける姿勢が欠かせません。担当者任せにせず、組織全体で情報管理を「自分たちの課題」として捉え続けることが、認証を形だけのものにしないための鍵となります。
最終的な判断に迷う場合は、無料相談などを活用して、専門家に自社の現状や取引先からの要望を直接伝え、客観的な視点から「自社にとってどちらが適しているか」「両方を目指すべきか」についてアドバイスをもらうことをおすすめします。判断に時間をかけすぎることで、取引のタイミングを逃してしまうこともあるため、早めに相談窓口を活用することが望ましいでしょう。
まずは自社の状況を整理し、専門家と一緒に最適な選択肢を見つけていくことから始めてみましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. プライバシーマーク(Pマーク)の使用用途はどのようなものですか?
A. 保護の対象は顧客情報だけでなく従業員情報を含むすべての関係者ですが、アピールする相手として想定されているのは主に一般消費者で、顧客情報を適切に管理していることを示す用途で使われます。
Q. ISMSの使用用途はPマークとどう異なりますか?
A. ISMSは自社が扱う情報資産を守る体制ができていることを取引先にアピールする用途で使われます。従業員が少なく顧客が多い企業にはPマーク、企業との取引が主な収益源の企業にはISMSが適しているとされています。
株式会社UPFについて(2026年10月1日時点)
株式会社UPFは、プライバシーマーク(Pマーク)・ISMS(ISO/IEC 27001)・AIMS(ISO/IEC 42001)・TISAXなどの認証の取得・運用支援と、セキュリティ監査、AI利用ガイドラインの策定支援を行う情報セキュリティの専門会社です。
- 創業:2005年5月(認証取得支援は2009年から)
- 支援実績:累計5,695社(うちプライバシーマーク4,261社、ISMS 1,199社)
- 継続率:95%(2020〜2026年平均。初めてUPFを利用したお客様が、次回の更新もUPFに依頼した割合)
- 体制:プライバシーマーク審査機関(JIPDEC)の現役審査員が在籍(自らがコンサルティングを担当する企業の審査は行いません)。年間2,000件を超える審査関連の情報が社内に集まります
- 自社でも取得:プライバシーマーク、ISMS(ISO/IEC 27001)、ISO/IEC 27701
- 拠点:東京(本社)・名古屋・福岡。全国の企業に対応
- 数字の定義と根拠:UPFの支援実績・継続率などの数字の定義と根拠
この記事を書いた人
株式会社UPF
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