利用制限の原則 【Pマーク8原則シリーズ その4】

【2026年10月時点の注記】
本記事は2017年8月の公開時点の情報をもとにしています。JIS Q 15001は2023年に改正され、プライバシーマークでは2024年10月1日から「構築・運用指針【JIS Q 15001:2023準拠】」に基づく申請受付が始まっています。
プライバシーマーク(Pマーク)の根本原則であるOECD8原則の4つ目は「利用制限の原則」です。今回の記事ではこの原則について考えたいと思います。
この記事のポイント
- 利用制限の原則は、明確化された目的以外の目的のために個人データを開示したり、利用可能な状態に置いたり、その他の形での使用に供したりしてはならないとする原則
- ここでいう「利用」は、「開示され」ること、「利用可能な状態に置かれ」ること、「その他の形での使用に供され」ることの3つ
- 例外は、「本人の同意がある場合」と「法律により認められる場合」
- Pマークでは、利用目的の範囲を超えて利用する前に、本人に利用目的や第三者提供の内容、個人情報の管理者についての情報などを書面で通知し、同意を得ることが条件
利用制限の原則(Use Limitation Principle)とは
利用制限の原則とはこのような内容です。
「個人データは、目的明確化の原則に従い明確化された目的以外の目的のために、開示され、利用可能な状態に置かれ、又はその他の形での使用に供されてはならない。但し、以下の場合はこの限りでない。
(a)本人の同意がある場合
(b)法律により認められる場合」
プライバシーマーク(Pマーク)取得会社は、この原則に調和して自社の個人情報保護に関連するすべての方針や規定、手順を策定・更新しなければなりません。
解説
利用制限の原則では取得の際に定めた目的以外の方法で個人情報が利用されることが制限されていますが、この“利用”とは具体的に3つのことを指しています。
- 第一は「開示され」ることです。ここでいう開示とはおそらく第三者に提供するなどして個人情報を他の者が利用できる状態に置くことを意味しているようです。
- 第二は「利用可能な状態に置かれ」ることです。これは利用することのみならず利用できるようにネットワークですぐにアクセスできる状態に置くことなども含むものと理解してよいでしょう。
- 第三は「その他の形での使用に供され」ることです。たとえば個人情報に基づいて本人にアクセスする行為などがこれに含まれるでしょう。プライバシーマーク(Pマーク)(Pマーク)の規格にも出てくる表現ですが、“本人にアクセスする”とは電話やメールやFAXや郵送などで本人との接触を図ることをいいます。
また個人情報を委託する行為も「その他の形での使用に供され」るケースの一つと解釈してよいかもしれません。
以上の3つは個人情報の利用目的の範囲内でしか行えませんが、例外となる状況もあります。
- まず「本人の同意がある場合」です。この場合は本人がいいと言っているわけですから、同意を得た範囲内で個人情報を利用することができます。
プライバシーマーク(Pマーク)では、利用目的の範囲を超えて利用する前に本人に対して利用目的や第三者提供の内容、そして個人情報の管理者についての情報などを書面で本人に通知し、そのうえで同意を得ることが条件となっています。 - もう一つ「法律により認められる場合」も目的外利用が許容される例外とされています。一般のプライバシーマーク(Pマーク)取得会社の日常業務においては稀にしか生じないケースかもしれませんが、たとえば刑事事件における捜査や公務上の質問検査権の行使などがこれに該当します。
Pマークとの対応
利用制限の原則はプライバシーマーク(Pマーク)の中の以下の項目で適用されています。
- 3.4.2.3 特定の機微な個人情報の取得,利用及び提供の制限
- 3.4.2.6 利用に関する措置
- 3.4.2.8 提供に関する措置
まとめ
この記事のまとめ
- 利用制限の原則は一つ前の目的明確化の原則と似た部分があるが、特にポイントとなっているのは「個人情報の目的外利用の禁止」
- 目的外利用が許容される例外は、本人の同意がある場合と、法律により認められる場合(刑事事件における捜査や公務上の質問検査権の行使など)
利用制限の原則は一つ前の目的明確化の原則と似た部分がありますが、特にポイントとなっているのが“個人情報の目的外利用の禁止”であるという点で異なっています。
・こちらの記事もおすすめです
→【Pマークって日本だけ?】
株式会社UPFについて(2026年10月1日時点)
株式会社UPFは、プライバシーマーク(Pマーク)・ISMS(ISO/IEC 27001)・AIMS(ISO/IEC 42001)・TISAXなどの認証の取得・運用支援と、セキュリティ監査、AI利用ガイドラインの策定支援を行う情報セキュリティの専門会社です。
- 創業:2005年5月(認証取得支援は2009年から)
- 支援実績:累計5,695社(うちプライバシーマーク4,261社、ISMS 1,199社)
- 継続率:95%(2020〜2026年平均。初めてUPFを利用したお客様が、次回の更新もUPFに依頼した割合)
- 体制:プライバシーマーク審査機関(JIPDEC)の現役審査員が在籍(自らがコンサルティングを担当する企業の審査は行いません)。年間2,000件を超える審査関連の情報が社内に集まります
- 自社でも取得:プライバシーマーク、ISMS(ISO/IEC 27001)、ISO/IEC 27701
- 拠点:東京(本社)・名古屋・福岡。全国の企業に対応
- 数字の定義と根拠:UPFの支援実績・継続率などの数字の定義と根拠
この記事を書いた人
株式会社UPF
同じテーマの記事はこちら
【業界別】製造業サプライヤーのSCS評価制度への備え|★3・★4を取引先から求められる前に整えておきたいこと【2026年11月時点】
「取引先から、セキュリティ対策の状況についてのアンケートが届くようになった」 「SCS評価制度の★を取っておいた方がいいのか、判断がつかない」 製造業のサプライヤーから、こうしたご […]
【業界別】広告・マーケティング・コールセンター・DM発送会社のPマーク取得・更新|委託先として選ばれ続けるための論点と、支援会社の見直し方
広告・マーケティング支援、コールセンター、DMの印刷・発送代行。 これらの仕事に共通するのは、お客様(委託元)の大切な顧客情報を、業務のためにお預かりするという点です。 個人情報保 […]
【業界別】AIサービスを提供する企業のAIMS(ISO/IEC 42001)取得|取引先への説明責任と差別化のために、いま整えておきたいこと
AIを組み込んだSaaSや、AIの受託開発、AIを活用した業務サービスを提供している会社では、取引先から次のような質問を受けることが増えていないでしょうか。 「お預けしたデータは、 […]
【業界別】自動車部品・ソフトウェアサプライヤーのTISAX取得|取引先から求められたときの進め方と、ISA2027を見据えた支援会社の選び方
「取引先から、TISAXのラベルを取得してほしいと言われました。何から始めればよいでしょうか」 自動車業界のサプライヤーから、こうしたご相談をいただく機会が増えています。 TISA […]
【業界別】受託開発・SaaS・クラウド事業者のISMS(ISO27001)取得・更新|チェックシートに強くなる進め方と、支援会社を見直すタイミング
受託開発やSaaS、クラウドの運用を手がける会社にとって、取引先から届くセキュリティチェックシートは、もはや日常業務のひとつではないでしょうか。 数十から数百の設問に、根拠をもって […]