リスクを構成する3つの要素【Pマーク取得の基礎知識】

プライバシーマーク(Pマーク)を取得している事業者であればすでにリスク分析を行い、必要に応じて更新しているものと思います。
「リスク」とは個人情報に関して起こりうる危険のことで、「リスク分析」とはその危険の度合いを評価することです。リスク分析は簡単な作業ではありませんが個人情報を守るうえで必要不可欠な作業ですので、面倒と思わずに実施する必要があります。
リスク分析の手法はいくつかあり、その中にはリスクの大きさを数値化する手法もあります。具体的にはリスクを決定する3つの要素を数値化し、それぞれ数値化したものを掛け算して、最終的に出てきた数値をリスクの大きさとする、という手法です。
この記事のポイント
- 「リスク」とは個人情報に関して起こりうる危険のこと、「リスク分析」とはその危険の度合いを評価すること
- 数値化の手法では、情報の重要度・脅威・脆弱性の3つの要素をそれぞれ「3」「2」「1」で数値化し、掛け算した数値をリスクの大きさとする
- この数値評価の手法はPマークの要求事項にないため、採用するかどうかは事業者の自由
リスクを決定する3つの要素とは以下のとおりです。
- 情報の重要度
- 脅威
- 脆弱性
情報の重要度
会社として取得している個人情報の中には重要度が高いものもそうでないものもあります。もちろんすべての個人情報は重要なものですが、その量や取得している項目などによって重要性の度合いには違いが出てきます。また取得した情報が直接取得なのか委託なのか、あるいは公開された情報から収集してきたものなのかなどの違いによっても機密性は異なってきます。
重要度の高い個人情報ほど事故が発生した場合の影響度も高くなりますので、本質的に高いリスクを抱えていると認識しなければなりません。
プライバシーマーク(Pマーク)のリスク分析では洗い出した個々の個人情報について極めて重要度の高いものを「3」、重要度の高いものを「2」、それ以外のものを「1」という具合で数値化していくことになります。
脅威
リスクを決定する二つ目の要素は脅威です。「脅威」とは個人情報に事故を及ぼしうる外的な要因のことです。
たとえば事務所に重要な個人情報が保管されているとします。重要な個人情報は本質的に高いリスクを抱えていますが、それが存在するだけでは事故に発展しません。ここに「情報の盗難を目的とした事務所への侵入」という不正な行為などが存在することで情報の流出という事故が起こるのです。この例でいうと「事務所への侵入」が脅威です。
リスク分析では脅威についても極めて発生しやすいものを「3」、発生しやすいものを「2」、それ以外のものを「1」という具合で数値化していくことになります。
脆弱性
「脆弱性」とは個人情報の保護や正しい取り扱いにおける欠陥のことをいいます。先ほどの例でいうと、事務所の施錠を忘れることなどが脆弱性に当たります。
リスク分析では脆弱性についても極めて発生しやすいものを「3」、発生しやすいものを「2」、それ以外のものを「1」という具合で数値化していくことになります。
まとめ
ここまででご紹介した数値評価の手法はプライバシーマーク(Pマーク)の要求事項にありませんので、プライバシーマーク(Pマーク)取得会社としてこの方法を採用するかどうかは事業者の自由です。
プライバシーマーク(Pマーク)(Pマーク)におけるリスク分析は情報セキュリティのリスク分析と異なり、単に情報の保護という観点だけでなく個人情報の本人の権利を守って取り扱うという観点からも分析を実施しなければなりません。
この記事のまとめ
- 数値評価の手法はPマークの要求事項にないため、採用するかどうかは事業者の自由
- Pマークのリスク分析は、情報の保護という観点だけでなく、個人情報の本人の権利を守って取り扱うという観点からも実施しなければならない
・こちらの記事もおすすめです
→【Pマークって日本だけ?】
株式会社UPFについて(2026年10月1日時点)
株式会社UPFは、プライバシーマーク(Pマーク)・ISMS(ISO/IEC 27001)・AIMS(ISO/IEC 42001)・TISAXなどの認証の取得・運用支援と、セキュリティ監査、AI利用ガイドラインの策定支援を行う情報セキュリティの専門会社です。
- 創業:2005年5月(認証取得支援は2009年から)
- 支援実績:累計5,695社(うちプライバシーマーク4,261社、ISMS 1,199社)
- 継続率:95%(2020〜2026年平均。初めてUPFを利用したお客様が、次回の更新もUPFに依頼した割合)
- 体制:プライバシーマーク審査機関(JIPDEC)の現役審査員が在籍(自らがコンサルティングを担当する企業の審査は行いません)。年間2,000件を超える審査関連の情報が社内に集まります
- 自社でも取得:プライバシーマーク、ISMS(ISO/IEC 27001)、ISO/IEC 27701
- 拠点:東京(本社)・名古屋・福岡。全国の企業に対応
- 数字の定義と根拠:UPFの支援実績・継続率などの数字の定義と根拠
この記事を書いた人
株式会社UPF
同じテーマの記事はこちら
「破られる前提」で備える時代へ——PHPの深刻な脆弱性(php2shell)とAI時代のサイバー攻撃について、私が考えたこと
2026年10月、サーバー側の言語が判明しているWebサイトの約7割で使われるPHPに、認証なしで外部からコードを実行され得る深刻な脆弱性(php2shell、CVSS 9.2)が公表され、国内外でサイト停止が相次ぎました。10年以上潜んでいた穴の攻撃経路をAIが突き止めた今回の件から、企業が「破られる前提」で備えたいことを、情報セキュリティの支援会社の代表として考えます。 […]
「預かる側」が問われている——委託先経由の漏えいが相次ぐなか、受託企業がいま整えておきたい5つのこと
日本経済新聞が随時更新している個人情報漏えいの公表企業一覧(2026年10月20日更新時点の78本)を見出しで確認すると、委託先・外部サービスなど、自社の外にある事業者の関与が示されたものが22本ありました。一つの攻撃が多数の公表につながる「連鎖」を踏まえ、取引先から個人データを預かる受託企業がいま整えておきたい5つのことを、個人情報保護委員会の資料をもとに整理します。 […]
「入らせない」——侵入経路の約5割はVPN機器。不正アクセスを防ぐために、いま優先する5つの対策
2026年上半期のランサムウェア被害報告は123件で半期として最多、被害組織の約6割は中小企業、侵入経路の約5割はVPN機器(警察庁)。個人情報保護委員会と警察庁の資料をもとに、不正アクセスを防ぐためにいま優先する5つの対策をまとめた、連載の最終回です。 […]
「退会しても、情報は残っている」——相次ぐ個人情報漏えいに、利用者・経営者・支援会社の3つの立場から私が考えたこと
タイムズカー、スカイチケット、ブックオフ、デジタル庁と、大規模な個人情報漏えいの発表が相次いでいます。退会しても情報が残っていることがある現実を踏まえ、利用者・経営者・Pマーク/ISMSの支援会社という3つの立場から、いまできる備えをUPF代表の仲手川が考えます。 […]
「間違えて渡さない」——件数で最多の漏えい、誤送付・誤交付を「注意」ではなく「仕組み」で減らす
個人情報保護委員会に報告された漏えい等事案の76.9%は紙媒体のみ。件数で見るといまも最多の誤送付・誤交付を、人の注意ではなく「止まる・間違えにくい・広がらない・報告される」の4つの仕組みで減らす方法を、個人情報保護委員会の資料をもとにまとめたコラムです。 […]