プライバシーマークに意味があるのか? メリット・デメリットから徹底分析
昨今ではデジタル化が進み、膨大な個人情報などを取り扱う企業が増えてきました。
それに伴い個人情報漏洩などの事件も増加し、企業における個人情報保護意識は高まってきています。
そこで個人情報保護体制整備の一環として、プライバシーマークを取得する企業は増えています。
しかし、その一方で一度プライバシーマークを取得したのにも関わらず、更新を辞退してしまう企業もいます。
更新を辞退する企業はどういった理由で辞退してしまうのでしょうか。
そこで本記事では、プライバシーマークの意義についてメリット・デメリットをお伝えいたします。
また効果的なプライバシーマークの運用方法についてもご紹介しておりますので、更新を検討中の事業者様は、ぜひご一読ください。
目次
プライバシーマークはなぜ意味がないと言われるのか
プライバシーマークは取得する上で準備を求められ、決して楽な作業ではありません。
しかし運用についても、以下のような苦労や悩みを抱える企業は多いです。
- 業務に直接関係のない業務がたくさんある
- 事前の準備ができず、更新申請時や審査前にまとめて資料を準備している
- コンサルからもらったテンプレに従ってルールを作成したが、会社での業務と乖離している
上記のような悩みを抱えている企業が多く、こういった悩みが更新辞退へと繋がっていくのだと考えられます。
では、なぜプライバシーマークを取得した企業がこのような悩みを抱えるのでしょうか。
原因として、主に3つの理由が考えられます。
規格要求事項に沿ってやるべきことがある
プライバシーマークの取得にあたり、「個人情報マネジメントシステム-要求事項(JISQ15001)」に即したルール作りが必要になります。
つまり、既存の規格要求事項に合わせてやるべきことが決まっているのです。
この規格要求事項の内容は、規模や取得時期に関わらず、どんな企業でも対応しなければいけません。
どんな企業でも、対応ができることを想定して規格要求事項が作成されているため、自社では当てはまらない要項や、作成したものの使用しないで終わるルールが存在してしまうなど、企業にとっては負担になってしまうのです。
お客様の要求が重要である
プライバシーマークで対応しなければならないルールは、自社のみで作成できるものではありません。
主に以下の4点を意識してルールを作成する必要があります
- プライバシーマークの規格要求事項
- 法律上の要求事項
- 自社の要求事項
- お客様からの要求事項
上記のことからもわかるように、自社だけの判断ではルールを作成できないのです。
特に、お客様からの要求に関しては重要であり、取引を行う上で求められるセキュリティ体制や情報管理が出てくる場合、自社だけでは判断できず要求に合わせた対応が求められるのです。
社内ルールとの整合性を取る必要がある
前述したように、プライバシーマークを取得する際にコンサル会社にテンプレを依頼した場合、それに沿ってルールを作成しても社内ルールと合わず無駄になってしまう部分が生まれる可能性があります。
また、本当はやりたくないけれど、テンプレに書いてあるためにそのルールを取り入れていることはないでしょうか?
社内ルールに合わせてプライバシーマークのルールを作らないと、自社ルールと合わない負担になるルールが出来てしまいます。
プライバシーマーク更新辞退のメリット
以上のような点が一部の企業には、負担になっていることがわかりました。
次にプライバシーマークの更新を辞退した際のメリットについてご説明いたします。
主に以下の点がメリットになると考えられます。
- PMS(個人情報保護マネジメントシステム)の運用が必要なくなる
- 1年、2年に1回必要だった内部監査や更新作業が必要なくなる
- プライバシーマークを取得していても事故を完全に防げるわけではない
- コンサル費用や審査費用、人件費カットなどのコスト面負担の軽減
つまり、プライバシーマークの維持にかかる負担を無くすことができる点が一番大きなメリットと言えます。
プライバシーマークの維持には、通常業務に加えての作業が必要になるため、企業や事業者の生産性は落ちてしまうのです。
プライバシーマーク更新辞退のデメリット
ここまで、プライバシーマークの更新を辞退することのメリットや、辞退するに至る理由をお伝えしました。
しかし、プライバシーマークを取得する企業は増加し続けています。
それは取得のデメリットを上回る必要性を感じているからでしょう。
ここではプライバシーマークの更新を辞退してしまうデメリットを説明します。
主に以下の点がデメリットになると考えられます。
- プライバシーマークがなくなったことで、取引先や契約が減少する
- 競合他社との差別化がしづらくなる
- 一般消費者に情報管理面でのアピールがしづらくなる
- 従業員の情報セキュリティ管理意識が下がる
プライバシーマークを取得するメリットとして、取引や仕事の受注増加や、優位性のアピールのしやすさ、社内のセキュリティ体制の強化などが挙げられます。
しっかりと自社の状況と照らし合わせた上で判断を行わずに、更新を辞退してしまうと上記のようなメリットが得られなくなってしまいます。
プライバシーマークの取得には大きな負担が伴います。
しかし自社の規模や環境、業種、社風などを踏まえた上で、自社にあったルールを作成することで、負担を軽減しつつ有効に活用することができるようになります。
効果的にプライバシーマークを活用するための具体的な方法を以下でご紹介いたします。
プライバシーマークの効果的な取得・運用方法
ではプライバシーマークを効果的に取得し、その後維持するにはどういったことが求められるのでしょうか。
今回は大きく3つの観点で説明します。
自社に適した無理のないルール作成
プライバシーマークをせっかく取得したからといって、自社で対応できる範囲よりも背伸びをした無理なルール作りになっていませんか?
審査で何も指摘されないような高い理想を詰め込んだルールを作成すると、実態はついていけず、形だけのプライバシーマークになってしまう可能性があります。
2年ごとの審査やその準備を長期的に続けていくことができるようなルールの作成を意識しましょう。
外部からアドバイスをもらう
プライバシーマークのルールを作成する際に、どのようなルールを作れば良いのか自社だけではわからない場合が多いです。
そういった際には、外部に相談可能なアドバイザーを確保することも重要になります。
コンサルタントなどのアドバイザーは、多くの運用や取得の事例を支援した経験から、その企業ごとに適した運用方法を提示してくれるでしょう。
一部アウトソースする
プライバシーマークを取得する際に避けて通れないのが、資料の作成やマニュアルの作成です。
社内で資料を作るには、人員や時間が必要になるため、企業の生産性をなるべく落とさずに作成するには、アウトソースを有効活用するのも1つの方法です。
あくまで情報提供は自社で行い、資料の作成のみアウトソースする形になります。
情報提供をする中で、新たに気づいた点を有効活用することができれば、自社の強みや弱みの新発見にもつながるのです。
プライバシーマークを更新辞退する場合の手順
もし上記のようなメリット・デメリットを踏まえた上で、更新を辞退したい場合は以下の対応が必要になります。
更新を辞退したい場合、更新審査を受けないだけでは更新辞退ができません。
更新辞退に関する手続きと、現在使用しているプライバシーマークの取り外し作業が必要になります。
プライバシーマーク推進センターに連絡すると手続きの案内をしてもらえます。
案内に従って手続きを進めていくことができ、直前の更新契約時に支払った付与登録料は、有効期限の開始日が過ぎていない場合に限り、返却してもらうことができるので確認をしましょう。
更新辞退の手続きが完了しても、まだ作業は残っています。
企業パンフレットやWEBサイト、名刺、ポスターなどに記載していたプライバシーマークを速やかに削除しなくてはいけません。
もしもプライバシーマークの取り消し後に使用していた場合には、法的に罰せられる可能性もありますので注意しましょう。
更新辞退する・しないの判断基準とは
ここまでプライバシーマークの更新を辞退するメリット・デメリットについて解説してきました。
プライバシーマークの取得や維持には、企業にとって大きな負担が伴います。
ここで紹介したメリット・デメリットをしっかりと踏まえ、自社での状況に置き換えて更新するかどうかを検討する必要があります。
それでも決断に迷いが生じた場合は、多くの企業事例を見てきたコンサルに相談することも一つの手です。
まとめ
いかがでしょうか。
本記事ではプライバシーマークの意味や更新辞退をするメリット・デメリットなどを解説しました。
改めて、プライバシーマークの運用は自社の状況に合わせて考える必要があります。
一度プライバシーマークを取り消した場合、再度取得する場合にはまた労力がかかります。
更新辞退をするかお悩みの企業様・事業者様は、コンサルへ相談するなど、更新のメリット・デメリットをしっかり踏まえた上で決断しましょう。
株式会社UPFでは、1845社のプライバシーマーク新規取得をサポートしてきた業界No.1を誇る実績があります。
プライバシーマーク更新に関してお悩みの企業様・ご担当社様は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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