プライバシーマークとは?プライバシーマークについて、取得のメリット・デメリットなど徹底解説!
昨今では企業や団体の運営において、さまざまな「情報」を取り扱います。
中でも、顧客に関する「個人情報」の管理が重要視されるようになり、プライバシーマークを取得したいと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、プライバシーマークを取得することで、どういったメリット・デメリットがあるのか紹介します。
目次
プライバシーマーク(プライバシーマーク)とは?
プライバシーマーク制度とは、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制が整備された事業者等を評価して、その旨を示すプライバシーマークを付与し、事業活動に関してプライバシーマークの使用を認める制度です。
この制度は日本産業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」に準拠した審査基準によって事業者を評価します。
つまりプライバシーマークがある場合、日本産業標準調査会で制定した個人情報保護の標準を満たした環境が整備されているということです。
ロゴマークが付与されると2年間使用することができ、取得後は2年ごとの更新が必要になってきます。Pマークはウェブサイトや看板、名刺、ポスターなどの宣伝媒体に広く使用することができ、2022年8月現在では17,102社が付与事業者として認められています。
プライバシーマーク取得のメリット
ではこのプライバシーマークを取得する事によって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
以下で詳しく見ていきましょう。
個人情報保護法対策
近年、情報化の急速な進行によって、パーソナルデータの利活用が可能になったことをきっかけに「グローバル化への対応」などで個人情報保護法の改正が行われました。その改正では個人情報関連の事項が新設されたり、個人データの利用に関して追記されたりするなど、規定が強化されました。
しかし、先述したプライバシーマーク制度の審査基準になっている日本産業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」は、個人情報保護法よりも、要求事項を網羅するとともに、難易度が高くなっています。
よって、プライバシーマークを取得したということは、厳しい個人情報保護法に対応した個人情報保護体制を構築したということと言い換えることができます。
個人情報を取り扱う上での対応が明確化し、確認可能になるため、プライバシーマーク取得前よりも、個人情報保護法を遵守しやすくなるのです。
営業上の案件機会の拡大
最近では個人情報を取り扱う官公庁などと取引を行う際に、取引条件としてプライバシーマークの取得が入っている場合が多くなっています。そのためプライバシーマークがないと、入札・取引ができないことも多くあり、案件獲得の機会が限定されてしまうのです。
また官公庁に限らず、大手企業との取引においても、プライバシーマークの取得、ISO27001の取得が条件に入っていることが多くなっています。
よってプライバシーマークの取得によって入札に参加可能な範囲が増え、プライバシーマークがある企業に対する世間からの肯定的なイメージもあり、新規開拓が容易になりやすいのです。
従業者による個人情報漏洩の防止
個人情報漏洩の発生件数は、年々増加傾向にあります。
2021年には、120社の上場企業及びその子会社にて、個人情報の漏洩事件や事故が発生しました。2012年の調査開始以来、最多件数になっており、個人情報漏洩の防止が非常に重要だということが分かります。
プライバシーマークの取得は会社全体で行うものであるため、従業者一人一人が個人情報保護の必要性を理解し、意識が向上する事によって、管理基準を一定水準で維持することができます。
また、社内で教育や訓練が運用されるため、内部情報漏洩を未然に防ぐことができるのです。
従業者の意識向上
プライバシーマークの取得には「従業員教育」が必要となります。
「従業員教育」とは、年に一度従業員に対して、プライバシーマークに関する教育を行うことを指します。
具体的には「個人情報に関する基礎知識」や「自社の個人情報の取り扱いに関するルール」など、さまざまな内容を学習することができるようになります。
教育と確認テストの実施によって、従業員は責任感を持って個人情報を取り扱わなければならないという意識が芽生え、内部情報漏洩の防止に繋がります。
顧客信頼度の向上
プライバシーマークは先述したように第三者認証の制度です。
つまり、個人情報の取扱を客観的に審査し、一定水準を満たしたと認可された企業だけが取得できるもののため、信頼性が一定以上担保されており、取引先や顧客は信頼しやすくなります。
安心して個人情報を預けることができると、他者との差別化にも繋がり、高い顧客満足度を獲得しやすくなります。
優秀な人材の確保
最近では就職活動を行う学生の間でもプライバシーマークの認知度は高まっているため、個人情報の塊である履歴書を、プライバシーマークを取得していない企業には送らないという話もあります。このように考えるのは、学生時代からリテラシーに対し、高い意識を持っている優柔な人材であると言え、優秀な人材が応募しなくなるということは、人材確保という面で、ロスが発生している事になります。
中小企業においては、大企業よりもプライバシーマーク取得の有無が優秀な人材確保に影響があると考えられるのです。
プライバシーマーク取得のデメリット
さて、ここまでプライバシーマーク取得のメリットについて見てきましたが、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。以下で解説します。
プライバシーマークを取得した際には、PMS(個人情報マネジメントシステム)を日常業務に組み込む形で運用する事になり、従業者側からすると余分な業務が増える事になります。
PMSを正しく運用している証拠として、記録を残す必要性もあり、業務の生産性が落ちる可能性があります。
また、プライバシーマークは取得したからといって、個人情報漏洩事故が起きないということを保証するものではありません。
プライバシーマークを取得した企業の5%ほどが、年間に何らかのアクシデントを起こし、JIPDECに報告をしているというデータもあり、もし情報漏洩が発生すれば、認定取り消しの処置が行われる可能性もあります。そうした場合、世間や取引先から信用を失うこととなってしまい、損失を被ることが予想されます。
プライバシーマークを取得する場合には、効率よく業務を行うことが可能なように、管理体制を整えておくことが求められるのです。
プライバシーマークの取得に必要な期間・費用
プライバシーマークは取得までの間にさまざまな準備が必要になり、費用や時間がかかります。
取得までに平均ではどの程度かかるのか、以下で解説します。
費用
プライバシーマークの取得には、必須の審査費用と依頼した場合に発生するコンサルティング費用、そしてその他費用(備品など)がかかります。
プライバシーマークにおける審査費用は、事業規模によってあらかじめ決められており、30万円から120万円となっています。
コンサルティング費用は、約30万円から100万円が相場となっており、審査費用に加えて費用がかかりますが、自社取得と比べると作業負担を大幅に軽減し、認証取得までの期間を短縮させることができるメリットがあります。
期間
プライバシーマークは取得までの間に、マネジメントシステムを構築し、3ヶ月程度運用していることが想定されます。その後、申請→審査→審査通過も手順を経て7〜8ヶ月程度が平均的な取得期間となっています。
親会社の一部業務が子会社化され、親会社の従業者が子会社の従業員として働く場合など、個人情報保護マネジメントシステムを運用していたという実績がある場合は、1ヶ月程度の運用で新規取得のための申請を行うといった例外を除けば、上記のような手順を踏むことになります。
プライバシーマークの取得方法
プライバシーマークを自社で取得することは可能です。しかしデメリットで述べたように、通常業務と兼任しながらの作業になるため、従業者に大きな負担がかかる事になります。
更に、プライバシーマーク取得には、多くの知識が必要になることから、取り組みの段階で問題が発生することが想定され、最終的に取得の計画自体が白紙になってしまうことも少なくありません。
担当者の方は現状を分析し、自社取得が難しい場合には、コンサルティング会社への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、プライバシーマーク取得のメリット・デメリットを中心に、取得にかかる費用や期間まで紹介しました。
プライバシーマークの取得には、時間的にも人員的にも、会社にとって少なからず負担をかける事になります。しかし、その分の信頼や従業者の統制の効果を得ることができ、メリットも非常に大きいです。
ぜひこの機会にプライバシーマークの取得を目指してみませんか?
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この記事を書いた人
株式会社UPF
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