刑法の中のPマーク

【2026年10月時点の注記】
本記事は2017年10月の公開時点の情報をもとにしています。制度・料金・統計などは、公開後に変更されている場合があります。最新の情報は無料相談でご確認ください。
「刑法」という法律をご存知ですか? 日本に数多くある法律の中でも極めて重要な法律の一つで、ビジネスだけでなくわたしたち個々人の私生活にも多くの面で関係の深い法律です。
「刑法」とは、広い意味では違反とそれに対する罰則を定めた法律のことで、様々な法律の中にある罰則規定もすべて刑法と呼ぶことができます。しかし日本には「刑法」という名前の付いた法律があって、狭い意味ではこの法律のことを「刑法」または「一般刑法」などと呼んだりします。
この刑法はプライバシーマーク(Pマーク)が目的とする個人情報保護にも関係があります。個人情報の保護は個人の権利を守るために必要なことですが、その権利を侵害する行為も世の中にはたくさん存在します。
そのような犯罪行為を規制する法律として広く知られているのは「個人情報保護法」ですが、個人情報保護法だけでなく刑法にも違反するセキュリティ侵害行為があるのです。
刑法で具体的に明示されている情報セキュリティ侵害行為にはどんなものがあるのでしょうか。
この記事のポイント
- 情報セキュリティ侵害行為の中には、個人情報保護法だけでなく刑法にも違反するものがある
- 刑法で明示されている行為として、電磁的記録不正作出及び供用(161条の2)、電子計算機損壊等業務妨害(234条の2)、電子計算機使用詐欺(246条の2)を取り上げる
- Pマーク取得会社が遵守すべき法令には、こうした刑法の規定も含まれる
本記事で取り上げる3つの犯罪を一覧にすると次のとおりです。
| 犯罪名 | 条文 | 内容 | 罰則 |
|---|---|---|---|
| 電磁的記録不正作出及び供用 | 刑法161条の2 | データを不正に作成する行為、またはそれを利用する行為 | 五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金 |
| 電子計算機損壊等業務妨害 | 刑法234条の2 | コンピュータを破壊したりエラーを起こさせたりして業務を妨害する行為 | 五年以下の懲役又は百万円以下の罰金 |
| 電子計算機使用詐欺 | 刑法246条の2 | 不正なプログラムによってコンピュータシステムやデータに損害を与えて利益を得る行為 | 十年以下の懲役 |
電磁的記録不正作出及び供用
「電磁的記録不正作出及び供用」とは刑法の161条の2に定められた犯罪のことです。条文は次のとおりです。
「人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」
この条文はデータを不正に作成する行為、またはそれを利用する行為を犯罪と規定しています。「電磁的記録」という言葉が登場しますが、「電磁的記録」とはコンピュータで作成・利用・更新したりする電子データのことです。
個人情報に関していうと、プライバシーマーク(Pマーク)取得会社において個人情報を不正に改ざんしたりそれを利用したりする行為は絶対にあってはなりませんが、そのような行為はプライバシーマーク(Pマーク)において不適合となるばかりでなく刑法にも違反しかねないということになります。
電子計算機損壊等業務妨害
「電子計算機損壊等業務妨害」とは刑法の234条の2に定められた犯罪のことです。条文は次のとおりです。
「人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」
ここではコンピュータを破壊したりエラーを起こさせたりして業務を妨害する行為が犯罪行為であるとされています。
電子計算機使用詐欺
不正なプログラムによってコンピュータシステムやデータに損害を与えて利益を得る行為に関する規定もあります。「電子計算機使用詐欺」という犯罪ですが、これは刑法の246条の2に定められた犯罪で、条文は次のようになっています。
「前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。」
まとめ
この記事のまとめ
- Pマーク取得会社には、個人情報保護にかかわる法令を遵守することが要求されている
- 遵守すべき法令には、今回取り上げた刑法の規定も含まれる
プライバシーマーク(Pマーク)(Pマーク)取得会社には個人情報保護にかかわる法令を遵守することが要求されていますが、遵守すべき法令には今回取り上げたような刑法の規定も含まれることを覚えておきましょう。
・こちらの記事もおすすめです
→【Pマークって日本だけ?】
株式会社UPFについて(2026年10月1日時点)
株式会社UPFは、プライバシーマーク(Pマーク)・ISMS(ISO/IEC 27001)・AIMS(ISO/IEC 42001)・TISAXなどの認証の取得・運用支援と、セキュリティ監査、AI利用ガイドラインの策定支援を行う情報セキュリティの専門会社です。
- 創業:2005年5月(認証取得支援は2009年から)
- 支援実績:累計5,695社(うちプライバシーマーク4,261社、ISMS 1,199社)
- 継続率:95%(2020〜2026年平均。初めてUPFを利用したお客様が、次回の更新もUPFに依頼した割合)
- 体制:プライバシーマーク審査機関(JIPDEC)の現役審査員が在籍(自らがコンサルティングを担当する企業の審査は行いません)。年間2,000件を超える審査関連の情報が社内に集まります
- 自社でも取得:プライバシーマーク、ISMS(ISO/IEC 27001)、ISO/IEC 27701
- 拠点:東京(本社)・名古屋・福岡。全国の企業に対応
- 数字の定義と根拠:UPFの支援実績・継続率などの数字の定義と根拠
この記事を書いた人
株式会社UPF
同じテーマの記事はこちら
【業界別】製造業サプライヤーのSCS評価制度への備え|★3・★4を取引先から求められる前に整えておきたいこと【2026年11月時点】
「取引先から、セキュリティ対策の状況についてのアンケートが届くようになった」 「SCS評価制度の★を取っておいた方がいいのか、判断がつかない」 製造業のサプライヤーから、こうしたご […]
【業界別】広告・マーケティング・コールセンター・DM発送会社のPマーク取得・更新|委託先として選ばれ続けるための論点と、支援会社の見直し方
広告・マーケティング支援、コールセンター、DMの印刷・発送代行。 これらの仕事に共通するのは、お客様(委託元)の大切な顧客情報を、業務のためにお預かりするという点です。 個人情報保 […]
【業界別】AIサービスを提供する企業のAIMS(ISO/IEC 42001)取得|取引先への説明責任と差別化のために、いま整えておきたいこと
AIを組み込んだSaaSや、AIの受託開発、AIを活用した業務サービスを提供している会社では、取引先から次のような質問を受けることが増えていないでしょうか。 「お預けしたデータは、 […]
【業界別】自動車部品・ソフトウェアサプライヤーのTISAX取得|取引先から求められたときの進め方と、ISA2027を見据えた支援会社の選び方
「取引先から、TISAXのラベルを取得してほしいと言われました。何から始めればよいでしょうか」 自動車業界のサプライヤーから、こうしたご相談をいただく機会が増えています。 TISA […]
【業界別】受託開発・SaaS・クラウド事業者のISMS(ISO27001)取得・更新|チェックシートに強くなる進め方と、支援会社を見直すタイミング
受託開発やSaaS、クラウドの運用を手がける会社にとって、取引先から届くセキュリティチェックシートは、もはや日常業務のひとつではないでしょうか。 数十から数百の設問に、根拠をもって […]