ここ10年でプライバシーマーク取得企業が増えている
「プライバシーマーク(Pマーク)制度」をご存知でしょうか。
ここ10年ほどで、さまざまな企業の広告や名刺などでも多く見られるようになりました。
ほんの少し前までは、企業などが経営において最も重要とされていたのは、「人」や「物」、「金」であると言われていました。
しかし、コンピュータやインターネットなどの普及に伴い、効率的かつ経営がスピーディな実現され始め、これによって経営資源のひとつとして「情報」という新たな資源が加わるようになります。
しかし、企業が取得し保有している個人情報を元に、顧客により最適なサービスを提供することが市場で求められるようになったため、情報の価値が認められるようになるにつれ、企業が取得した個人情報を適切に取り扱い、安全に管理することが重要となってきたのです。
そのため、平成10年4月1日より、日本工業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム―要求事項」に適合し、個人情報について適切な保護体制を整備している事業者などを認定し、それを示すためのPマークを付与する「プライバシーマーク制度」の運用が開始され始めました。
マークの取得を目指す企業はさまざまですが、おもに自社で直接取得する顧客などの個人情報が多い「B to C」を主体とする企業が多く見られます。
なぜプライバシーマークが必要?
10年前と比べて、いま、プライバシーマーク(Pマーク)を取得する企業が多くなっているのはなぜなのでしょうか。
Pマークを取得することによって、得られるメリットから考えていきましょう。まず、一番重要なことは、Pマークの取得活動を行うことによって、自社がどれだけの個人情報を取り扱っているのか、またその取得方法は適切であるのか、利用方法や管理方法は間違っていないのか、保管先や保管方法は問題がないか、委託や提供を行っている場合には、どのようなルーチンで行われているのか、またその方法に欠点はないかなど、ひとくちに個人情報といっても、自社がその情報を取得してから廃棄(あるいは保管)するまでの過程には、大変さまざまな見直しのポイントがあります。
このように、自社が取り扱っている情報を洗い出すことで、普段何気なく取り扱っている情報に対し、社員ひとりひとりがそれらの取り扱い方法について見直すことができ、適切な運用が行えるようになります。
今後、どのような漏洩のリスクがあるか、また万一情報の漏洩が発生した場合の対策を講じることで、社内全体の個人情報の取扱いに対する意識の向上に繋がります。
あなたの会社が、実際にこれらの活動をきちんと実施しているのかどうかについて、一般の消費者が調べるのはとても困難な作業となります。
そのため、これらの適合審査に合格しているという承認を得ているだけで、企業に対して「個人情報保護活動を実施するための基準を示している」という意味でも、Pマークとは非常に意味のあるマークなのです。
プライバシーを守っているというアピール
プライバシーマーク(Pマーク)を取得すると、「プライバシーを守っている」というアピールなどの社会的信用の確保だけではなく、社内全体の個人情報の保護に関する意識の向上や、社員による内部流出事件の防止にも繋がっていきます。
Pマークの取得活動を行っていく過程で、絶対に避けることができない項目として、各社員への教育があります。
ただし、個人情報に対する正しい取り扱い方法や知識について、社員ひとりひとりに徹底していくには、自社だけの教育では限界があるのも事実です。
企業の規模や業種、取り扱っている個人情報の中身などによっても、気を付けなければならないポイントは大きく異なります。
また、企業によっては得意な分野不得意な分野に分かれるため、どうしても不得意な分野に対する教育や安全対策、危機管理は手薄になってしまいがちです。
そのような場合には、「プライバシーマーク取得支援サービス」などのコンサルティングサービスを上手に活用することが大切です。
コンサルタントは、これまでにさまざまな規模の企業のマーク取得に携わっていますので、それぞれの企業の規模や社員数、取り扱っている情報などに応じて適切かつ合理的なシステムをスムーズに構築することが可能です。
また、社員教育に関しても定期的なセミナーで常に新鮮な情報を発信してもらえますので、事業の安定継続性を獲得することが可能です。
トラブル発生による企業イメージダウンを未然に回避することができますので、結果的にはコストの削減およびリスクヘッジに繋がることになります。
消費者から見たプライバシーマーク
また、消費者や取引先に対しては、Pマークを取得していることで信頼度を高めることができますので、「うちの会社は、プライバシーの保護をしっかり行っていますよ」というアピールを行うことができるようになります。
消費者であれば、Pマークを取得していない企業よりも、マークを取得している企業を利用する方が、自身が渡した個人情報を適切に取り扱ってもらえるのではないだろうかという意識が働きますし、利用する企業の判断材料のひとつにもなり得るでしょう。
また、取引先であれば「Pマークを取得している企業から選ぶ」という考え方を持った企業も少なくありません。
とくに委託業務や派遣業務などの業種の場合には、非常に重視されるマークとなってきます。
というのも、派遣や委託業務などを行っている場合には、取り扱う個人情報の量が一般の企業のように社内だけの個人情報ではなく、委託者や派遣社員の個人情報はもちろんですが、委託先や派遣先の情報も管理しなければならないからです。
つまり、一般の企業の倍の量の個人情報を常に扱っていることになるのです。
とはいえ、そのような一見デメリットと思われるような業種であっても、Pマーク取得に向けて活動をし、適切な運用を行うことで、かえって新規顧客や取引先の確保にも繋がっていくことになります。
利用者側にしてみれば、Pマークを取得している企業であるかどうかをすぐに知ることができますので、数ある企業の中で選択するひとつの判断材料にもなるのです。
Pマーク制度とは、マークを取得した企業だけではなく、利用者側にとっても安心を得るに相応しい要求事項であるため、非常に合理的な制度であるといえます。
このようにプライバシーマーク(Pマーク)を取得することは、取得する企業にとっても、その企業を利用する消費者や取引先にとっても、さまざまなメリットがあります。
しかし、Pマークを取得する費用は決して安価ではないうえに、取得後の継続的な運用の実施、社員の教育、さらに新たな情報社会に対する対策や体制作りなど、常に2年ごとの更新に向けての努力が必要となります。
多くの企業では、Pマーク専任の担当者を配置することはできないため、ほとんどの場合、一般社員が日常の業務と並行してPマーク制度の運用を兼任しているのが現状です。
取得までは、なんとかその体制でやり過ごせたものの、安定した運用や新たな制度への対応まではなかなか難しいようです。
運用からでも「プライバシーマーク取得支援サービス」などのコンサルティングサービスを上手に活用することで、結果的には社員の業務効率を上げて、コスト削減に繋がったという事例はいくらでもあります。
もしも、現在、Pマーク取得後の運用や業務の見直し作業などで行き詰まっている場合には、「プライバシーマーク取得支援サービス」などのコンサルティングサービスに相談をされてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
株式会社UPF
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